2024年度公募プログラム
[薬学研究科]
異分野ネットワークの構築を目指した統合システム適塾
活動代表者
薬学研究科教授 有田誠
本プログラムでは、鶴岡キャンパスにおいて、薬学研究科と先端生命科学研究所に所属する学生による合同リトリートを開催することで、異分野ネットワークの構築と学問分野の垣根を越えた融合研究の芽を育てます。

1)招待講演
スタートアップ企業経営者およびアカデミア研究者からなる合計5名を講師として招聘した。冨田勝氏(鶴岡サイエンスパーク理事、元IAB所長)からは「鶴岡サイエンスパークのイノベーションマインド」と題して、前半は鶴岡にIABを創設した経緯から複数のアカデミア発スタートアップ企業創出の原動力についてご説明頂き、後半はこれからの時代を生きる若者に求められる力について、非常に熱の籠ったご講演を頂いた。また、楊佳約氏(IAB特任助教)には「腸管粘膜細菌が宿主健康に与える影響」と題して、最新の研究成果をご紹介頂くとともに、これまで楊氏が進んできたキャリアの変遷についてもご紹介頂いた。平山明由氏(IAB准教授)には、「メタボローム解析は新たな時代へ」と題して、メタボローム高感度解析を可能とする新規シースレスCE-MSデバイスの開発経緯や、本機器の製造販売を行うインセムズテクノロジー設立の経緯や起業の困難さなどを研究者目線で語って頂いた。続いて、玉木聡志氏(株式会社MOLCURE CEO兼CSO)からは「AIを活用した抗体創薬」と題して、近年注目を集めている大規模言語モデルによる抗体医薬品開発についてご紹介頂くとともにご自身のキャリアパスについても語って頂いた。最後に早野元詞氏(慶應大医学部 特任講師)には「Aging研究からイノベーションの展開」と題して、ご自身のアンチエイジング研究と、そこから得られたシーズを社会還元するための複数のスタートアップ設立、世界のバイオベンチャーの状況などについて幅広くご紹介して頂いた。
2)パネルディスカッション
「多様なキャリアパスについて考える」と題して、福田真嗣氏がファシリテーターとなり、上記招待講演者および湯澤賢氏を交えて、本音のトークが交わされた。登壇者はそれぞれ人とは違う自分の信念に基づいたキャリアを選択しており、研究室生活が中心で視野が狭くなりがちな学生にとって非常に刺激になった。学生からの質疑も活発に行われ、博士号取得の必要性や多様なキャリアを考えるきっかけとなった。
3)学生によるプレゼンテーション・グループワーク
参加した学生全員が簡潔にピッチ発表(自己紹介・研究紹介)およびポスター発表を行い、普段交流のなかった学生同士が仲を深め、また各々の研究についての理解を深める良いきっかけとなった。さらに、ピッチトークとポスター発表をふまえて7つのグループを構成し、「目指せ!鶴岡10番目のベンチャー企業」をテーマに、仮想スタートアップ設立に向けた資金調達を行うための発表を行った。各グループはまず役職を割り振り、社会的な課題を見つけ、一からスタートアップの構想を考えた。最終の発表会では、次々とユニークな事業計画が披露される中、実際のスタートアップ起業のCEOから批評を受けるなど、非常に盛況で充実した時間となった。本活動は、参加学生のアントレプレナーシップの涵養に直結する有意義なものであった。さらに、多様なバックグラウンドを持つ学生同士がグループを形成したため、普段の研究内容やラボでの生活についても共有することができ、異分野ネットワークの醸成にも繋がった。
第4回慶應義塾大学先端生命科学研究所-薬学研究科合同リトリート「統合システム適塾」を開催
https://www.pha.keio.ac.jp/column_cl/2024/09201524.html