2024年度公募プログラム
[医学部]
地域貢献ができる医療系三学部合同人材育成実習プログラム
活動代表者
医学部医学教育統轄センター教授 春田淳志
医療系学生が郊外の地域住民との交流を通じて、学生・地域の双方に学びのインパクトを与えるプログラムです。学生には地域を視る視点を醸成することを期待します。

内容:2024年8月19日~25日まで水上、8月19日~31日まで稚内、2025年2月24日~27日まで美濃にて実施した。対象は医学部、看護医療学部、薬学部の希望学生であり、水上は合計3名(医学部1名 看護医療学部1名 薬学部1名)、稚内は合計30名(医学部15名、看護医療学部10名、薬学部5名)、美濃は合計6名(医学部2名、看護医療学部2名、薬学部2名)が参加した。
成果:本プログラムでは、学生が事前に地域のデータを収集し、現地では地域住民と対話しながら実習を進めた。地域住民が実習の場を支え、学生は地域に根ざした暮らしや課題を実際に体験する機会を得た。プログラムを通じて、学生は地域の実情をより深く理解し、都市部との違いを実感した。長距離移動を伴う医療機関への受診や、地域特有の生活習慣に触れることで、都市での暮らしとの比較が生まれ、地域の価値を再認識する契機となった。また、地域に根ざして働く人々の姿勢に触れ、職業選択の視野が広がるとともに、医療の知識だけでは測れない地域文化や生活背景を尊重することの重要性を学んだ。本プログラムを通じて、学生は地域の魅力や課題を深く理解し、地域住民とともに学ぶ意義を実感した。都会では得られない実践的な学びを経験し、医療や地域づくりに対する新たな視点を養う貴重な機会となった。
慶應義塾大学医療系三学部合同教育
https://ipe.keio.ac.jp/program-2024/special-2024/

公募プログラム
医学部3年
稚内での実習を通じ、現地住民の方々から直接話を伺う機会を得て、資料やデータのみでは決して掴みきれない地域の実情に触れることができた。住民の方々が日々の生活をどのように送り、どのような思いを抱きながら暮らしているのか、そうした具体的な背景は事前の調査では見えてこなかったものであり、貴重な知見を得られたと実感している。本実習において、実際に足を運び、住民の声に耳を傾けることこそが、地域の現状理解に不可欠であると痛感させられた。今後、医師として臨床に臨む中で、この体験を糧に患者一人ひとりの声に真摯に耳を傾け、目に見えない心情や生活背景に寄り添う姿勢を大切にしていきたいと考える。
薬学部6年
薬学部の実務実習の経験を通して医療の地域差を実感したことから地域における課題解決に貢献したいとの気持ちや現地の人や他学部の学生とのディスカッションを通して自分の視野を広げたいと思い、本実習に参加しました。私は地域診断についてこの実習に参加してはじめて学びましたが、チームで協力しながら情報収集したり、考察したり、アイデアを出し合ったりする過程は学びに満ちあふれていました。 本実習を通して、その土地を知り訪れることで深まる学びを体感しました。事前学習では、現地の方とのミーティングを通して、グループで集めた情報の解釈と現状とのギャップ、現地の地理的感覚に基づいたアドバイスなどをいただきました。また、都会とは違った密なつながり、地域の人が気軽に語り合える関係性や空間などは言葉だけでは伝わらない、現地に行ったからこそ感じたものだと思いました。インターネットで気軽に多くの情報を手に入れられるようになっても、現地に行ってみないと得られない情報がたくさんあると感じました。今回の学びを通して感じた現場の声に耳を傾けることや多角的な視点を忘れずに、地域の課題に向き合い、社会に貢献していきたいです。
看護医療学部3年
恥ずかしながら何も知らないところからのスタートだったため、1からネットで情報を調べ始め、仮説を立案し、最終的にはアクションプランを立てるという一連の流れを学生のうちに経験することができ、貴重な機会となった。2週間の実習を通して、事前調査で5つもの仮説を立案しジャンルを絞り過ぎなかったことがアクションプランの立案に功を奏したのではないかと感じた。プランは世代間のつながりを強調する内容だったが、世代はいつまでもその世代でいるわけではなく、時が経つにつれて、世代の面子が変化していき、結局は人生を生きていく中ですべての世代を経験する。よって、一つの世代の課題が解決されても、根本的な課題解決には至らないのではないかと考える。そのため、世代間を横断するプランを立てることによって、全世代の課題を解決できるようなアクションプランづくりができたのではと考えている。実際に現地を訪れると、想定していた仮説との相違を発見しつつ、地域の魅力が同時に見えてきた。地域診断は課題にフォーカスする傾向があるが、強みを捉えそれを活かしていくことの重要性を学ぶことができた。