2026年度公募プログラム
[医学部]
都市型災害に対応できる実践型人材育成プログラム
活動代表者
医学部・准教授 本間康一郎
都市部での災害は必ず起きます。だからこそ、学部や立場を超えて学び、実際に動ける人材を育てたい。このプログラムが、未来の現場を支える最初の一歩になることを願っています。
【事前学習(4〜7月)】
オンライン学習6時間。都市災害の全体像、リスク評価の考え方、指揮命令系統の共通ルール、院内の事業継続計画(BCP)、薬剤・医療資源の流れ、学校・地域との連絡体制を学ぶ。加えて、〝衛生的な避難環境の構築〟の基礎(手指衛生の標準化、感染症疑い者のゾーニング・隔離、簡易トイレの運営・使用・排泄物の処理フローを扱う)。学部別オンラインゼミ(各90分)で役割と連携の基本を整理し、混成チーム結成のための自己紹介シート、連絡網、役割を決定する。参加条件を説明し、同意を得る。対象30〜40名、6班編成を想定する。
【3日間ワークショップ(8、9月)】
Day1:ワークショップ形式で机上演習(首都直下地震×情報混乱)を実施する。6班で、状況把握→優先順位付け→初動計画を作成する。キャンパスと周辺地域の危険地図、連絡先一覧、初動チェックリストを整備し、災害対策本部の設置・情報集約の手順等を確認する。
Day2:実践訓練(多数傷病者の一次トリアージ、緊急避難所運営)を行う。簡易VR(仮想現実)と模擬病棟で現場を再現し、病院—学校の横断連携を体験する。衛生的な避難環境の構築をテーマに、①手指衛生ステーションの設置と運用、②感染症疑い生徒・教職員の一次評価とゾーニング、③簡易トイレの運営・使用手順の訓練、④排泄物・嘔吐物の安全な処理、⑤衛生材料の在庫・補給計画を実地で行う。緊急避難所運営の実地演習を行い、物資配分、要配慮者対応の手順を検証する。また、災害時の意思決定と連携の土台となるクロノロ(chronology: 時系列の記録)を書けるレベルまでの訓練や情報連携で必須なトランシーバーの使用訓練も実施する。
Day3:同じ場所で強い雨が長く続く大雨や土砂災害を想定した総合シミュレーションを実施する。衛生ブロックでは、トイレ不具合・物資不足・感染症疑い者の急増など衛生面のボトルネックを織り込んだシナリオで運用改善を検証する。各班が90分の対応ログ、意思決定の根拠、改善提案を発表する。自治体・消防等の外部評価者にも講評を依頼し、行動計画と学内BCPへの反映案を作成する。
【事後活動(10〜12月)】
月1回のケースディスカッション(60分)を実施し、衛生手順(手指衛生遵守率、ゾーニング運用、トイレ・排泄物処理)の振り返りを行う。修了要件(出席・課題)を満たした参加者に修了証を付与する。
【成果公開】
ポスター・動画を学内サイトで公開し、学会や地域防災イベント、セミナーで発表する。
【評価】
知識:小テスト 技能:トリアージの実技とロールプレイ、衛生手順(仮設トイレ運営・排泄物処理・PPE着脱) 態度:評価表(ルーブリック)で評価する。個別フィードバックを実施する。
