2025年度公募プログラム

[殿町先端研究教育連携スクエア]

殿町&鶴岡&新川崎 タウンキャンパス連携による地域・世代を超えた先導者育成研究プログラム

活動代表者

システムデザイン・マネジメント研究科教授/殿町先端研究教育連携スクエア兼担教員 神武直彦

神武直彦地域・世代を超えて、小学生から大学院生までの多様な参加者が、「システム思考」と「デザイン思考」という考え方に基づき、新たな気づきを得て主体的に考える力を養います。地域が持つ潜在力に触れ、創造力を掻き立て、科学技術の面白さを感じ取り、ワクワクするアイディアを生み出し形にできる先導者を育むことを目指します。

活動内容

【異なるタウンキャンパス(殿町・鶴岡・新川崎)の交流による気づきや新たな視点の獲得】
 アドバンスドコースで学ぶ小中学生(約10名)は、鶴岡タウンキャンパスにて世界最先端のバイオテクノロジー研究が行われている鶴岡サイエンスパークを訪問する。先端生命科学研究所(以下IAB)は最先端のバイオテクノロジーを用いて生体や微生物の細胞活動を網羅的に計測・分析し、コンピュータで解析・シミュレーションして医療や食品発酵などの分野に応用し、データ駆動型生命科学の最先端を開拓する世界的パイオニアとして発展を続けている。IABでは荒川和晴所長による講演や分析機器や次世代シーケンサー等、最先端機器の見学を行う。特にIABで開発したCE-MSと呼ばれるメタボローム分析装置は、性能・設置規模ともに世界最高レベルであり、癌化のメカニズムの解明など基礎研究のための重要なツールとなっているだけでなく、地元で収穫されるコメなどの多数の食品の品質向上に役立っている。またCE-MSを使用した鶴岡市民約1,000人の血液、尿を使用した鶴岡コホート研究など、IABの研究と地域の関わりにも触れる。鶴岡で生まれた日本を代表する科学技術系ベンチャー企業であるSpiber株式会社では、同社が持つ独自の科学技術に触れ、自然への深い観察と研究を経て、IABや地域との連携で、いかに画期的な商品を開発することに成功したかを学び、10%が海外メンバーである同社の国際色豊かなチームの熱気や雰囲気に触れ、最先端の実験機器や企業の研究所の雰囲気を感じ取る。試作工場エリアでは実際に繊維を作るためにどれほど大きな装置を使っているのか規模感を感じ、同社が新たに開発したブリュード・プロテインを直接見て触れる。鶴岡で生まれ殿町にも研究所を持つ株式会社メタジェンは、腸内環境に向き合い次世代のヘルスケアを切り拓くための研究開発・事業開発に取り組んでいる。トイレに捨てている便から価値を創造し、病気ゼロの実現を目指す同社では、社会に寄り添い、社会と共に未開の健康社会を切り拓くために自らが研究と社会をつなぐ雰囲気を感じ取る。地方都市の課題解決型事業に取り組み、地方の可能性を経済へと繋ぎ、また次世代の教育事業にも力を注いでいる株式会社SHONAIでは創造力を掻き立てる児童教育施設「KIDS DOME SORAI」を見学する。
ベーシックコースで学ぶ小中学生(約40名)は、世界に先駆けて鮮明な力触覚伝送に成功したことをきっかけに関連研究のさらなる高度化を目指して、新川崎タウンキャンパスに2014年に設立されたハプティクス研究センターなどを訪問する。塾生達はリアルハプティクス技術を体感し、研究を楽しむことや仲間との絆を大切にすることを研究活動に従事する理工学部やシステムデザイン・マネジメント研究科、政策・メディア研究科の学生も加わる「殿町×新川崎タウンキャンパス連携ワークショップ(仮称)」を通じて学ぶ。

【地域の歴史と産業を学び、地域の持つ強みや課題の体感と理解】
 アドバンスドコースでは、国指定史跡藩校「致道館」を訪問し、その歴史と学びに触れる。致道館は天性重視、個性伸長と自学自習、会業(小集団討議)の重視を学風とし生徒一人ひとりの生まれつきの個性に応じてその才能を伸ばすことを基本にしながら、知識を詰め込むことではなく、自ら考え学ぶ意識を高めることを重んじている。先人のたゆまぬ努力により培われた知恵や工夫が、鶴岡の教育的風土を形づくるとともに、時代を超えて今日の鶴岡発の産業に繋がっていることを学ぶ。
これらのフィールドワークを経て、鶴岡では「殿町×鶴岡タウンキャンパス連携ワークショップ」を行う。アドバンスド受講生、教員やメンター、鶴岡タウンキャンパス学ぶ地元高校生、SFC大学院生、若手教員も参加し、各々が進めている研究の中間発表を行うと共に、高校生やSFC大学院生も自身の研究発表を行い、世代、分野、地域を超えて互いに教え合い、学び合い、自己理解、他者理解を深める。
ベーシックコースでは、ハプティクス研究センターから生まれた最先端の科学技術で社会を豊かにすることを目指すモーションリブ株式会社を始め、タウンキャンパスを中心とした地域産業の振興に寄与するベンチャー企業との交流を通じて、研究成果が地域社会に還元されることで地域課題解決に貢献すること、ローカルかつグローバルな視点で研究者として世界と繋がり関わっていくことを体感する。

【東北公益文科大学ジュニアドクター「鳥海塾」との交流による他者・自己理解の深化】
 アドバンスドコースでは、地域に根差した大学として地域課題の解決に取り組み、様々な挑戦を行っている東北公益文科大学ジュニアドクター育成塾「鳥海塾」の受講生と共に「ジュニアドクター交流ワークショップ」を昨年度に引き続き実施する。JSTによるジュニアドクター育成塾は全国の約30の大学で実施されているが、実施大学間交流はこれまでに行われておらず、鶴岡タウンキャンパスの協力により初めて実現した。「KEIO WIZARD“GLOCAL”」では、宇宙、防災、医療、環境など多様な分野に触れながら、実現したい未来に向けて多様な仲間と共に研究活動を通して課題の解決に挑戦している。物事の繋がりを俯瞰的・多角的に捉え理解し分析するシステムズアプローチ、興味関心や専門分野の異なる多種多様な参加者が学年・世代・分野を超えて学び合うラーニング・バイ・コーチング、仲間になった参加者同士が学びを他者と伝え共有し循環する世代や分野を超えた人材が交流する場の構築により人材の育成を行っている。また「鳥海塾」では地域の人・自然・社会・歴史的財産の価値を見出し、新しい情報技術との橋渡しのできる人材の育成をプログラミングを通して行っている。全く異なる環境で学ぶ参加者同士が、「ジュニアドクター交流ワークショップ」通じて、地域や分野を超えて、多様な価値観に触れ、共に学び合い、教え合い、他者理解と自己理解の一層の深化を期待する。同時に、鳥海塾との交流の成果をベーシックコースの40名にも還元し、他地域・他機関における同世代の活躍に触れることで社会と世界の中における自分の役割や他者との繋がりへの理解を促進させる。

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