2010年度公募プログラム
塾医学部学生の海外医学教育ワークショップ参加と慶應の医学教育へのフィードバック
活動代表者
漢方医学センター・センター長 渡辺 賢治
患者さんの診察の仕方を英語で、違った文化的切り口で実践できただけでなく、日本の他大学の優秀な医学生と過ごした10日間は素晴らしい思い出となり、一生共に頑張っていく貴重な仲間を得る機会となります。

2010年3月14~20日にかけてハワイ大学で行われた春のワークショッププログラムではPBL(Problem Based Learning)、CRE(Clinical Reasoning Exercise)、SP(Simulated Patient)といった、症例をベースに自ら考えて行動し、教員や模擬患者との双方向のやり取りから医学を学ぶスタイルの授業が行われた。ハワイ大学の教員は、これらのコーディネーターとしてのスペシャリストであり、また診察の練習には病院の診察室と同じ部屋が用意されていた。このプログラムを通じ、実際の臨床の現場で医師が行っている思考の過程を模擬的に体験でき、さらに模擬患者相手ではあるが、実際の診療過程を学ぶことができた。志の高い日本中の医学生とともに学ぶ機会をもてたことも大きな意味があった。
2010年4月17日には、信濃町キャンパスにおいて、ハワイ大学の教員2名の監督の下、春のワークショップに参加した慶應医学部の学生が中心となってPBL、CREのワークショップを開催した。全国から約40名の医学部生が集まり、学生だけで症例検討およびフィードバックを行った。学生が学生を教え、互いに学ぶことは非常に有意義であった。
2010年8月15~20日にかけてハワイ大学で行われた夏のワークショッププログラムでもPBL、CRE、SPを中心とし、さらにPE(Physical Examination)にも重きをおいた授業が行われた。診察における思考プロセス、その後の身体診察への流れを一度に学ぶことができ、また日本と米国での身体診察を比較することは大変勉強になった。
今回のワークショップでは、ただ単にPBLを学び、他大学の学生との国際交流を行っただけでなく、慶應医学部へPBLの手法を還元し、後輩たちへ医学英語教育及び医学を通じての国際体験を伝えることができた。これは、医学という枠組みを超えて、今後の慶應義塾発展のためには欠かせない第一歩となるであろう。