2007年度公募プログラム

宇宙授業の実施とデジタルコンテンツ制作

活動課題(テーマ)

講演形式の定期的な宇宙授業の実施とデジタルコンテンツおよび指導案の作成と配布

担当

女子高等学校 教諭 小林 秀明

小林 秀明ある回の『宇宙授業』であった本当の話です。講演者が感極まって言葉に詰まり涙を流しました。すると聴講者から自然と拍手が沸き上がりました。そして聴講者全員が講演者と握手をして帰りました。

実施状況

1. 宇宙授業の実施

(詳細:http://www.gshs.keio.ac.jp/uchu/uchu.htm#uchu_7

【第7回】「モノづくりで広がる、宇宙への夢」(平成19年7月14日)

演者:青木豊彦氏(株式会社アオキ社長、東大阪モノづくり親善大使)(約2時間)
講演内容:人工衛星「まいど1号」の開発に纏わる話とモノづくりの大切さを語っていただいた。
※ 聴講者は生徒・保護者・関係者を含め約200名。

【第8回】「詩から宇宙がうまれるとき」(平成19年11月30日)

演者:覚 和歌子氏(詩人・作詞家)、山中 勉氏(JAXA宇宙環境利用センター)(約2時間)
講演内容:詩人および作詞家として詩とのかかわりと「連詩」についての授業をしていただいた。 ※聴講者は生徒・関係者を含め約100名。

2.宇宙教育活動への参加

「大手町カフェ宇宙講座『女性のための宇宙生活体験サロン』に参加」(平成19年10月19日)

内容:宇宙開発委員の野本陽代氏による「生活・暮らしに生きる宇宙の技術」,日本女子大学の多屋淑子氏による「宇宙の衣服から介護服をつくる裏ワザ」という講演を拝聴。また、JAXAの小口美津夫氏による講演「宇宙船の水処理技術から生まれた浄水装置」および浄水された水の試飲をおこなった。 (詳細:http://www.gshs.keio.ac.jp/uchu/uchu.htm#uchu_t3

「第2回 宇宙連詩完成披露シンポジウム」(日本科学未来館 みらいCANホール 平成19年3月9日

内容:JAXA主催の第2期宇宙連詩「星があるの巻」の完成披露シンポジウムで、本校が取り組んでいる慶應義塾創立150年記念 校内宇宙連詩「道をつくる」の一部を朗読。なお、JAXA主催の宇宙連詩「星があるの巻」の第23詩(全24詩)には本校生徒の作品が選ばれた。これは国語科の授業との連携によって達成した成果の一つである。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)「宇宙連詩」

3.JAXAによる『サンプルリターンミッション』への参加

2008年3月11日にNASAケネディ宇宙センターから打ち上げられたスペースシャトル「エンデバー号」(STS-123)には土井隆雄日本人宇宙飛行士が搭乗し、アサガオおよびミヤコグサの種子とミジンコの休眠卵などを日本の実験棟「きぼう」の船内保管室内に格納した。これは『サンプルリターン計画』に使われる材料で、6ヵ月後に地上に持ち帰り、発芽率やふ化率等が無重力や宇宙線によってどのような影響を受けるかを地上での試料と比較検討するものである。本校は,その地上実験を担当するプロジェクト校である。本校での実験のほかに、小中高の各学校にもアイデアを募集し,宇宙(無重力)空間で生物材料を用いた長期実験を計画する予定である。

成果・目標達成度

成果

今までの宇宙授業は、基本的には1回完結の講演形式の授業であったが、2007年度の宇宙授業からは、JAXAが企画している第2期『宇宙連詩』に継続的な参加を試みた。具体的には国語科の授業とタイアップして、詩人でもあり作詞家でもある講師を招いて、連詩の公募に繋がる詩の授業をおこなった。その結果、第1期の『宇宙連詩』では成し得なかった本校生徒が最終選考を通過し連詩に採用されるという快挙を遂げることができた。さらに各回の最終選考の候補作品の中に複数の本校生徒の作品が残ったことも、教科を超えた新たな宇宙授業の試みの成果といえよう。

このように2007年度の宇宙授業では、連詩について系統的な授業を織り交ぜ講演形式にとらわれない新形式を試みた。この発展型として、現在では校内宇宙連詩を創作している。この連詩には(1)2008年度、創立150年を迎える慶應義塾が、将来に向けた新たな道を構築していくという強い意思。(2)6月にスペースシャトルに搭乗する本塾理工学部出身の星出彰彦さんへのエールという意味がこめられている。すでに我々の活動は、星出さんにもメールで伝えられ、また、新入生はもとより教職員を含めた学校全体の宇宙への関心が高まってきていることも1つの成果といえよう。さらに進級者や受験生の中にも、本校HPの宇宙授業を閲覧し、受講を希望している生徒が多いことも一つの証といえよう。

目標の達成度

活動課題名にある「コンテンツ制作」については従来どおりのDVDの製作と配布を継続的におこなっている。また、2008年度には10回目の宇宙授業を迎えるのを機に総集編を製作する予定である。したがって「コンテンツ制作」での最終的な到達度は次年度に一つの区切りを向かえる。
このように「コンテンツ制作」のみならず「サンプルリターン計画」「校内宇宙連詩」など、宇宙授業で取り組んでいる内容は継続性の高いものばかりである。そのなかでJAXAとの連携は確実に深まり、本校の生物部員との共同実験、生徒主体の連詩編纂委員会の立ち上げなど着実にステップアップを果たしていると考えている。

今後の展望

方向性と発展性

2008年度の宇宙授業では、(1)宇宙授業(デジタルコンテンツ制作を含む) (2)「サンプルリターン計画」 (3)「校内宇宙連詩」が引き継がれる。

(1)宇宙授業の継続 

従来通り各学期に1回の宇宙授業を実施する。2008年度一学期には,宇宙食の開発に携わった食品メーカーの開発者の授業を予定している。また、第10回の宇宙授業を機に総集編のコンテンツ(DVD)を製作する。

(2)「サンプルリターン計画」の実施 

現在,日本の実験棟「きぼう」の船内保管室内に格納されているアサガオおよびミヤコグサの種子やミジンコの休眠卵などが6ヵ月後に地上に持ち帰られる。その間、JAXAと連携して全国の小・中・高生に、これらの材料を用いた実験のアイデア募集をおこなう。本校でも地上での発芽率やふ化率を調べる観察を実施中である。

(3)「校内宇宙連詩」の完成 

年度をまたいで創作中の校内宇宙連詩を、星出宇宙飛行士が搭乗する前までに完成する。この連詩は生徒と教員が交互に紡いでいるもので、JAXA主催の第3期宇宙連詩公募への足がかりとしたい。

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