2016年度公募プログラム
[理工学部]
空間デザイン海外研修
活動代表者
理工学部システムデザイン工学科准教授 岸本達也
海外の異なる社会・文化の空間デザインから学ぶことは多くあります。現地での見学や、専門家・学生との交流を通じて、空間デザインについて深く考えてほしいと思います。学生諸君の多くの参加を期待しています。

2016年度の空間デザイン海外研修は、マレーシア・ペナン島およびシンガポールにて行った。現地の都市計画者、建築家などの専門家によるレクチャーおよび、シンガポール国立大学との共同ワークショップを通じて、都市デザイン・建築デザインのフィールド調査や新たなデザイン提案について実践的な学習を行った。まず海外活動のための準備として、2016年7月16日から23日にかけて、理工学部矢上キャンパスにおいてプレワークショップを開催した。シンガポール国立大学建築学科のJunko TAMURA先生に講演をしていただき、シンガポール大学およびシンガポールの建築・都市デザインの状況、およびマレーシア。ペナン島の建築について学んだ。また、現地でのフィールド調査および設計提案のための準備として、日本の街を対象としたフィールド調査を行った。自由が丘の九品仏緑道を対象としたフィールド調査とデザイン提案を行い、発表・講評を行った。
8月29日から9月9日までの12日間がマレーシア・ペナン島およびシンガポールにおける見学およびワークショップである。ペナン島ではジョージタウンという世界遺産に認定された伝統的なショップハウスによる都市空間の見学と調査分析を行った。まず、Penang Heritage TrustのClement Liang氏によりジョージタウンのショップハウスおよび水上集落の解説をしてもらいながら見学をした。またショップハウスの改修を手掛ける建築家のTan Yeow Wooi氏の設計事務所を訪問し、同氏よりショップハウスのリノベーションの事例について解説をしてもらい学んだ。さらに、少人数のグループに分かれてジョージタウンおよび水上集落の空間デザインおよびヒト・モノの分布のフィールド調査を実施し、現状の空間構成および人間の活動についての分析を行った。現状の空間構成について考察をするとともに改善のためのデザイン提案をまとめた。ペナン島最後の日の8月31日の夜は、レストランにおいて、グループごとの成果の発表と講評をした。
翌日の9月1日からシンガポールへ移動し、8日間のシンガポールの都市・建築デザインの研修とシンガポール国立大学(National University of Singapore:NUS)との共同ワークショップを開催した。参加学生および教員は、NUSキャンパス内の宿泊施設に滞在することができた。まず、シンガポール国都市計画実施しているURA(Urban Redevelopment Authority) のCity Galleryを訪問し、その展示を見ることで、シンガポールが国策として推進している環境配慮型の都市計画と建築デザインについて学んだ。次に、建築学科のJohanes Wotodo先生講義を受けて、過去から現在までのシンガポールの建築の歴史について学んだ後、建築学科の設計スタジオを見学した。設計スタジオでは、まさに設計課題の最終発表がなされている状況を見学すると同時に、これから取り組むNUSでのワークショップのグループ分けに参加し、慶應とNUSの学生の混合チームを結成した。9月2日(金)、3日(土)は、専用バスをチャーターしてシンガポールの主要な大学、住宅地、再開発を行っている地域を訪問してそのデザインを学んだ。訪問場所は、Solaris(緑化オフィス建築)、南洋理工大学、Republic Polytechnic、Punggol(住宅地)など、15か所である。
9月5日(月)から8日(木)はNUSでのワークショップであった。担当の岸本がテーマ(都市のWalkability)の解説と課題の出題をし、その後、NUSの学生と慶應の学生による少人数のグループに分かれて、ワークショップを開催した。課題は、人とモノの分布のフィールドサーベイとその分析に基づくLittle Indiaにおけるデザイン介入(Intervention)の提案である。少人数のグループは合計12結成され、それぞれにNUSのチューター(教員)が指導する形で、ワークショップは実施された。参加学生は、NUSの学生とともに全体の計画を立て、Little Indiaでフィールドサーベイを実施し分析を行い、デザイン提案を行った。最終日の8日(木)には、各グループによるプレゼンボードのピンナップおよび模型の展示によるプレゼンテーションをし、教員からの講評と学生間の意見交換がなされた。