2010年度公募プログラム
野外に飛び出せフィールドワーク 「慶應義塾 夏の学校2010」
活動代表者
法学部教授 秋山 豊子
野外で直に生き物に触れ環境問題を実体験するプログラムです。少しハードだけれど、楽しく学びたい生徒・学生のための「慶應義塾 夏の学校」です。学部生向けの西表島実習と一貫校連携の野外実習があります。2010年度はこのプログラムの最終年度ですので、興味がある人は是非応募してください。

1.一貫校連携による合同林間実習 (立科山荘:慶應義塾校外教育施設);大学の全学部と幼稚舎を除く一貫校に募集をかけ、24名の参加者[普通部5名、中等部1名、日吉高5名、志木高7名、大学6名(うち女子4名)]があった。異年齢による班を構成し、野外観察と解析を行った。指導は、普通部;谷口、志木高;井澤、大学・生物;秋山の他、幼稚舎・高梨、日吉高の松本、杵島とお茶大・池田を加えて7名であたり、林間植物・高山植物、地衣類、昆虫などの採集と観察、気象・地質・星の観察など、班毎のテーマにより、4-5名に1名の教員という少人数指導を行った。寝食をともにし、それぞれの学年の立場により共同生活において学ぶものも多かったようであった。当基金は、施設使用料や実習費に充当され、実習の成否と参加者の負担軽減に大きく寄与した。
2.亜熱帯圏での野外実習(大学生向け。西表島:琉球大学熱帯生物圏研究センター西表研究施設);全学部生を対象とし、琉大西表研究施設(沖縄県八重山郡竹富町)で行った。2010年度は、応募者は26名あったが、潜水観察時の安全上、14名(うち女子8名)で行った。所属学部は理工・薬学部も含まれ、学年は1年から4年まで多様であった。西表島に特有なマングローブ林とサンゴ礁を中心に実習を行った。温暖化によるサンゴの白化や動植物相の変化も見られ、ゴミ問題も深刻となりつつあった。離島特有の開発問題もあり、生物多様性を理解しながら環境問題について学ぶには格好の場所であった。これまでとほぼ同様の実習内容を予定していたが、台風の影響で亜熱帯林の観察はルートの変更を余儀なくされた。現地では琉球大熱帯生物圏研究センター副所長の馬場繁幸教授に講義とフィールド実習を依頼した。当基金は、学生への補助と実習費、現地での諸費用に充当され、実習を成功裏に導き、また、参加者の負担を大きく軽減した。
また、西表島での実習は、琉球大の多大な協力と連携により成立しているが、申請のメンバーによるこれまでの強調した活動と前年度までの利用実績、前準備を進めてきた結果であり、同施設にはこの実習の趣旨が十分理解されて協力を仰ぐことが可能となっているものである。
以上のように、このプログラムは、一貫校と大学との連携を深め、また、未来への先導をつとめる、独立して生きる力と協力して生きる力を兼ね備えた人間の育成に資する事業として効果的だったと考えられる。